──でも人類は少しずつ制度を改良してきた

「資本主義って、結局なんなんだ?」投資を始めてから、僕はたまにこんなことを考えるようになりました。会社で働いて給料をもらう。その給料で生活し、余ったお金で株や投資信託を買う。その株を持っている会社は、そこで働く人たちの労働によって利益を生み出している。そして、その利益の一部が株主にも還元される。

……あれ?僕たちは労働者でありながら、同時に資本家にもなれるんじゃないか?

ここから、ちょっと話を遡ってみます。今回は少しハードな話です。

奴隷制と資本主義には、共通点がある

まず、誤解のないようにしておきます。現代の労働者と奴隷は同じではありません。これは大前提です。

奴隷は法的に自由を奪われ、人間そのものが所有される制度でした。一方、現代の労働者には、会社を辞める自由があります。転職することもできる。自分で会社を作ることもできる。株を買うこともできる。つまり、奴隷制と現代の賃金労働を「同じもの」と言ってしまえば、それは歴史を雑にしすぎています。

それでも、両者を比較すると見えてくるものがあります。

それは、「人間の労働が経済活動の中心になる」という部分です。奴隷制では、人間そのものが所有されました。資本主義では、人間そのものではなく、労働力を市場で売買する。ここには大きな違いがあります。

そして、この違いこそが、人類が制度をどう改良してきたのかを考えるポイントになると思うのです。

人間を運ぶことまで「金融」の対象になった

近代の世界経済を考えるうえで避けて通れないのが、大西洋奴隷貿易です。アフリカから人々を強制的に連れ出し、船で大西洋を渡し、アメリカ大陸などで奴隷として働かせる。そこでは砂糖、タバコ、綿花などの生産が行われました。

当然、当時の長距離航海には大きなリスクがあります。船が沈む。貨物が失われる。海賊に襲われる。航海中に人が死亡する。だからこそ、商人たちはリスクを分散する仕組みを必要としました。

それが海上保険です。

ここが現代人からすると、かなり重いところです。海上保険そのものは奴隷貿易より前から存在していました。しかし18世紀になると、奴隷貿易や奴隷経済は英国の海上保険市場と深く結びついていきます。実際、研究では奴隷船だけでなく、奴隷経済によって生産された砂糖などを運ぶ船も保険の大きな市場になっていたことが示されています。Lloyd’s(イギリス・ロンドンにある世界最大の保険引受市場です。)自身も、奴隷貿易に関係する船舶や「人間の貨物」が保険の対象になっていた歴史を認めています。

つまり、人間を売買する経済活動まで、金融システムの中に組み込まれていた。これは資本主義の歴史を考えるうえで、非常に重い事実です。

株式会社も「巨大な事業にみんなで金を出す」仕組みだった

そして、もう一つ面白い存在があります。東インド会社です。

1600年、イギリスの東インド会社は王室から勅許を受けて設立されました。最初から現在の株式会社と完全に同じだったわけではありませんが、複数の出資者から資本を集め、巨大な海外貿易を行うという仕組みは、近代的な株式会社の歴史を考えるうえで重要な存在です。

1600年の設立時には125人の株主と約7万2,000ポンドの資本が記録されています。後に共同資本方式へ発展していきました。

なぜ、こんな仕組みが必要だったのでしょう。

簡単です。海外まで船を出して商売するには、金がかかりすぎるから。船を作る。船員を集める。商品を積む。何か月も航海する。そして途中で船が沈めば、大損です。だったら、一人で全部背負うのではなく、「みんなで金を出して、大きな事業をやろう」となる。これが資本を集める仕組みの発展につながっていきました。

そして現在、僕たちが当たり前のように使っている株式市場も、こうした長い歴史の延長線上にあります。

「所有する側」と「働く側」ここで、奴隷制と資本主義をもう一度比較してみます。

奴隷制では、人間を所有する側と所有される側がいました。資本主義では、資本を所有する側と労働力を提供する側という関係が生まれます。もちろん、これは同じではありません。奴隷は人間そのものを所有されていました。現代の会社員は会社の所有物ではありません。

辞めることもできる。転職もできる。自分で商売することもできる。だからこそ、「奴隷制がそのまま資本主義になった」とは言えません。

ただ、「誰が資産を所有し、誰が労働を提供し、その利益がどう分配されるのか」という視点で見ると、共通する構造が見えてきます。ここは面白いところです。

でも、人類はちゃんと「改良」してきた

僕は今回、ここを一番書きたかった。資本主義には問題があります。格差もあります。資本を持っている人ほど、さらに資本を増やしやすい。親から資産を引き継げる人と、ゼロから始める人ではスタートラインも違います。これは現実です。

だから、「資本主義なんて最高の制度だ!」とも思いません。でも、「だから奴隷制と同じだ」とも思いません。なぜなら、人類は少しずつ制度を改良してきたからです。

奴隷制の廃止。労働時間の規制。最低賃金。労働安全衛生。社会保障。労働者の権利。そして、「労働者自身が資本を持つ」という選択肢。完璧ではない。でも、昔より選択肢は増えています。

現代には「労働者から資本側へ移動する道」がある

ここが、僕が投資を面白いと思う理由です。会社員として働く。給料をもらう。その一部を貯蓄する。そして、そのお金で株や投資信託を買う。すると、昨日まで「労働力を提供する側」だった自分が、ほんの少しだけ「資本を所有する側」にもなる。もちろん、少額投資をしたからといって、いきなり大富豪になるわけではありません。僕だってそうです。

でも、1株でも株主は株主。投資信託を持っていれば、企業の利益成長の恩恵を受ける側にもなれます。

技能を身につけて労働単価を上げる。副業をする。事業を始める。株式を持つ。投資信託を持つ。方法は一つではありません。大切なのは、「働いてお金をもらう」だけの状態から、少しずつ選択肢を増やしていくこと。だと思っています。

資本主義を嫌うだけでは、資本は増えない

資本主義には問題がある。それは間違いありません。でも、「資本家はずるい!」と怒っているだけでは、自分の資産は増えません。だったら僕は、仕組みを知って、その中で少しでも有利に動く。こっちを選びたい。会社員でもいい。低所得でもいい。最初から大金を持っていなくてもいい。少額からでも、労働者100%から、労働者+資本を持つ人へ。少しずつ移動する。これなら普通の人にもできます。

僕が「少額投資」にこだわる理由も、そこにあります。

果てしない闇の向こうに

奴隷制。植民地支配。奴隷貿易。海上保険。株式会社。工場労働。賃金労働。そして現在の資本主義。こうやって歴史を並べてみると、「結局、人間はずっと働かされているじゃないか」と思うかもしれません。確かに、共通する構造はあります。でも、共通点があることと、同じ制度であることは違います。ここを僕は大切にしたい。

人類は、完全ではないけれど、「人間を所有する社会」から「労働力を契約によって売買する社会」へ。そして、「労働するしかない人」から「労働しながら資本も持てる人」へ。少しずつですが、選択肢を増やしてきました。だから僕は、資本主義を手放しで礼賛もしないし、全部を否定もしません。仕組みを知る。そして、その仕組みの中で、自分にできることを考える。それでいいと思っています。

1994年。僕がまだ何も考えずに聴いていた曲があります。当時はドラマ「若者のすべて」のテーマソングでした。

👉️Mr.Childrenの、「Tomorrow never knows」

今になって聴くと、妙に刺さる。資本主義の歴史を調べて、「なんだこれ。果てしなく暗いな……」と思ったダボ猫。でも、そこで終わらない。

果てしない闇の向こうに、手を伸ばそう。笑

大金じゃなくていい。1株でもいい。少額の投資信託でもいい。資格でも、技能でも、副業でもいい。昨日より少しだけ、自分の選択肢を増やす。それがダボ猫なりの、「資本主義との付き合い方」なのかもしれません。

……というわけで今日も、労働者やりながら、ちょっとだけ資本家。これでいきます。😸少しぐらいはみ出したっていいさ

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