僕は会社員生活で、「長」が付く役職まで出世したことがありません。

製造業ではリーダー止まり。はい。ポンコツです。笑

ただ、情けない話ですが、僕自身もそこまで出世したいと思っていませんでした。もちろん、給料は欲しいです。でも、それ以上に、子どもと過ごす時間が欲しかった。これが僕の中では結構大きかったんです。

出世より、子どもを選びました

僕自身、子どものころに親と十分に過ごしたとは言いにくい家庭で育ちました。だから、自分の子どもにはできるだけ一緒にいてやりたい。特に子どもが多感な時期には、仕事だけを理由に家にいない親にはなりたくありませんでした。

もちろん、仕事を頑張ることが悪いわけではありません。むしろ、家族を養うために仕事を頑張るのは立派なことです。ただ、仕事に時間を振れば振るほど、家庭に使える時間は減ります。これは当たり前の話です。

そして、実際に日本の父親を対象にした研究でも、仕事時間が長くなるほど子どもとの平日の時間が減ることが確認されています。

2024年に発表された日本の大規模調査では、2万7,783人の働く父親を分析。週40~49時間勤務の父親と比べると、週50~59時間勤務では、平日に子どもと過ごす時間が少なくなるオッズが約1.95倍でした。つまり、「仕事が忙しいから子どもとの時間が減る」という、ものすごく当たり前に思えることにも、ちゃんとデータがあります。

さらに2026年の研究では、親の非標準的な勤務時間、特に夜勤などが子どもの学業成績にマイナスの影響を与え、そのメカニズムでは「所得効果」より「時間効果」が大きいと分析されています。

だから僕は、「仕事を頑張ることが悪い」とは思いません。ただ、仕事に時間を振ることにも、見えないコストがある。そう考えるようになりました。

しかも、子どもへの関わり方は「量」だけでもない

ここは少し面白いところです。親が子どもの勉強にベッタリ付き添えば、必ず成績が上がるわけではありません。

親の関与と学業成績について、過去50年の研究をまとめた二次メタ分析では、親の関与と学業成績には全体としてプラスの関連が確認されています。一方で、宿題を親が直接手伝うことについては結果が一貫していません。

特に重要なのは、親の期待や自立を支える関わりのほうが比較的強い関連を示していることです。数学についても、20研究・1万6,338人を対象にしたメタ分析では、

自主性を支えるような親の関与 → 成績とプラスの関連

過度に介入するような関与 → 成績とマイナスの関連

という結果が出ています。

つまり、子どもに必要なのは「親が何時間も勉強を見張ること」ではなく、必要なときに支えてくれる親がいることなのかもしれません。僕が欲しかったのは、たぶんこっちでした。僕は話したい時に親は仕事にいく環境でした。だから親という安心できる話相手がいつもいて、いつでも疑問に答えてあげられる。そんな環境を大事にしたかったのです。

そして、出世の時間を考えてみる

一方で会社員として考えると、役職に就くのは40代からが多い。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、男性の役職者の平均年齢は、係長級 43歳課長級 47歳部長級 52歳となっています。もちろん会社によって違いますが、ざっくり言えば40代から管理職の世界に入っていくわけです。

仮に45歳で課長になったとしましょう。60歳までなら、15年です。社会人生活を20歳から60歳までの40年と考えれば、役職に就いてからの期間は意外と短い。

僕はここで、「この15年のために、子どもが多感な時期の時間を全部仕事に振るのか?」と考えました。そして、それなら子どもを優先しよう。そうなったわけです。

……まあ、そもそも僕に人をまとめる能力がなかったという話もありますけどね。笑

ただし、出世しなかった代償はある

ここは都合よく書きません。出世しなければ、当然ながら逃した所得がある可能性があります。役職手当もある。基本給も上がる。その先の退職金や年金にも影響する可能性がある。つまり、「子どもを優先したから何も失っていない」なんて話ではありません。

僕は確実に、出世競争の一部から降りた。これは事実です。では、

その差をどうするのか。

40代になってから、僕はここを考えるようになりました。「労働」だけで取り返さなくてもいいんじゃないか?そこで出てきたのが、資本です。

会社員なら、基本的には、

働く

↓

給料をもらう

↓

貯める

というゲームです。でも、貯めたお金を資本として働かせれば、

働く

↓

給料をもらう

↓

資本に変える

↓

資本にも働いてもらう

という別のルートができます。

ここで僕が知ったのが、トマ・ピケティのr > gです。

rは資本収益率。gは経済成長率。ピケティの議論では、長期的には資本収益率が経済成長率を上回ることがあり、それが資産の集中を考える重要な要素になります。

ただし、「r>gだから株を買えば必ず儲かる」という意味ではありません。ここは絶対に間違えてはいけません。個人の投資リターンと、経済全体の資本収益率は別物だからです。

僕がここから受け取ったのは、もっと単純な考え方です。

人生の収入源は、労働だけでなくてもいい。

これです。

20年のロスを「20年働いて取り戻す」必要はない

例えば40代から資産形成を始めたとしても、資本には時間があります。複利です。元本が増える。その元本からまた利益が生まれる。さらにその利益も運用される。だから、「若いころにもっと働いていればよかった」と後悔して、さらに40代、50代を仕事だけに突っ込む必要はない。もちろん、投資で出世分の所得を完全に取り返せる保証なんてありません。そんな甘い話ではありません。

ただ、労働所得を最大化しなかった人生でも、資本を育てることで別の形で資産形成に参加できる。この発想は、僕にとってかなり大きかったんです。

僕は出世しなかった。でも、それで終わりではない

振り返れば、もっと仕事を頑張れたかもしれません。もっと上を目指せたかもしれません。もしかしたら課長くらいにはなれたかもしれません。でも、そうしていたら、子どもと過ごせる時間は今より少なかったでしょう。

どちらが正解だったのか。そんなものは分かりません。子どもとの時間に正確な値段を付けることもできません。だから僕は、「あのとき出世を選ばなかった」ではなく、「あのとき子どもを選んだ」と思っています。

そして40代になった今は、「では、これからどう資本を作るか?」を考えればいい。過去20年を後悔し続けるより、こっちのほうが建設的です。

そして、最後にこの曲

ここまで書いて、僕がどうしても思い出す曲があります。CHAGE and ASKAの、「YAH YAH YAH」です。1993年の曲で、ドラマ「振り返れば奴がいる」の主題歌。まさに今回のタイトルそのものです。笑

👉️CHAGE and ASKA「YAH YAH YAH」公式ディスコグラフィー

この曲には、「必ず手に入れたいものは誰にも知られたくない」という有名なフレーズがあります。僕は今になって、この言葉が妙に分かる気がします。会社で出世する。年収を上げる。大きな家に住む。いい車に乗る。こういうものは、外から見れば分かりやすい。だから比較されます。「あいつは課長になった」「あいつは部長になった」「あいつは年収○○万円だ」

でも、自分が本当に欲しいものは、別に他人に見せる必要なんてない。

子どもとの時間だったり。家族との時間だったり。健康だったり。自由だったり。会社を辞めても困らない資産だったり。それは本人が分かっていればいい。

そして、「100ある甘そうな話、一度は触れてみたい」というのも人情です。笑ただ、100個あったら100個信じる必要はない。自分に必要なのか。自分の人生に合っているのか。それを考えればいい。僕の場合は、出世より子ども。そして、労働所得だけではなく、資本も育てる。今のところ、そんな人生になっています。

振り返ればヤツがいる。「お前、リーダー止まりじゃん」と笑われるかもしれません。それでもいい。僕には僕の、手に入れたいモノがあります。それを、誰かに評価してもらう必要なんてないのです。それがダボ猫チャートです。

※本記事では、親の勤務時間や親子の関わりと子どもの成績などについて、研究で確認された「関連」を紹介しています。個々の家庭で「仕事を減らせば必ず成績が上がる」といった因果関係を示すものではありません。

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