前回の記事では、僕が長年抱えていた人間関係の悩みに、資産形成を通じて自分なりの決着をつけた話を書きました。

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今回は、その経験をもう少し細かく分析してみたいと思います。

なぜ、資産形成を続けていたら、長年頭の中を占領していた人間関係の悩みが小さくなったのか。お金があれば嫌な奴を忘れられる、という単純な話ではありません。

僕自身の経験を振り返ると、そこにはいくつかの変化があったように思います。

1.人間関係の悩みは、頭の中で何度も再生される

30代の頃、僕は人間関係でかなり苦しんでいました。親との関係、職場の人間関係、子どもを通じてつながった人たちとの関係、さらには騙された経験まで。今振り返っても、地獄だったと思います。

厄介なのは、嫌な出来事が終わったからといって、悩みまで終わるわけではないことです。相手が目の前にいなくても、されたことを思い出す。言われた言葉を反芻する。「なぜ、あんなことをされたのか」と考える。そして、また腹が立つ。もちろん、嫌な経験を思い出すこと自体がおかしいわけではありません。理不尽な扱いを受けたなら、怒りや悲しみが残るのも自然なことです。

ただ、過去の出来事を繰り返し考えている間も、自分の時間は進んでいきます。相手が何も変わっていなくても、自分の人生だけは進んでいる。当時の僕は、そのことを十分に意識できていなかったのかもしれません。

2.資産形成を始めると、意識を向ける先が増えた

そんな僕が、お金について真剣に学び始めました。きっかけは、将来への不安でした。このままではいけない。自分の生活や家族を守るために、何かできることを探さなければならない。そこから家計を見直し、資産形成について学び、実際に行動するようになりました。

すると、それまで人間関係の悩みに使っていた意識の一部が、別の方向へ向かい始めたんです。収入をどう使うか。 支出をどう見直すか。 預金と投資の違いは何か。 株価や投資信託の評価額はなぜ動くのか。 物価が上がると、生活にどんな影響があるのか。考えることが増えました。

ここで大切なのは、資産形成が悩みを魔法のように消してくれたわけではない、ということです。

過去の出来事を考える以外にも、自分の時間と意識を使える対象が増えた。僕にとって、これは大きな変化でした。

3.お金も金融商品もコモディティも、価値は変動する

資産形成を続けるなかで、僕は当たり前のことを実感するようになりました。お金も、金融商品も、コモディティも、価値が変動する。株価は動きます。投資信託の評価額も動きます。金や銀の価格も動きます。物価が変われば、同じ金額で買えるものも変わります。

もちろん、値動きの理由はそれぞれ違います。すべてが同じ方向に動くわけでもありません。それでも、世の中の価値は固定されているわけではない。昨日と今日で変わることがある。この仕組みを、知識として覚えるだけでなく、自分のお金を通じて実感するようになりました。

そこで、ふと思ったんです。

世の中の価値は動いている。それなのに、僕は自分の悩みだけを固定されたものとして扱っていたんじゃないか。過去にされたことは変わりません。相手の行動を正当化する必要もありませんし、無理に許す必要もありません。ただ、過去の出来事に対する自分の見方や、これからの行動まで固定しておく必要はない。そう考えられるようになりました。

これは、お金の値動きと人間の心理が同じ仕組みだという話ではありません。資産形成を通じて、僕自身が「変わるもの」と「自分で変えられるもの」を意識するようになった、ということです。

4.資産評価額を合計したとき、悩みの順位が変わった

あるとき、自分たちが積み上げてきた資産の評価額を合計してみました。

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そこにあったのは、単純な利益の数字だけではありませんでした。働いて得たお金。 支出を見直して残したお金。 お金について学び、少しずつ積み上げてきた結果。自分がやってきたことが、目に見える形になっていたんです。

もちろん、すべてが投資で増えたわけではありません。資産評価額は変動しますし、将来も同じように増える保証はありません。それでも、自分たちが築いてきたものが、確かにそこにありました。

そのとき、長年抱えていた人間関係の悩みが、以前ほど大きく感じられなくなったんです。

なぜなのか。僕なりに考えると、いくつかの理由がありました。

ひとつは、過去にされたことより、これから守りたいものの存在感が大きくなったこと。自分が築いてきた生活がある。大切にしたい家族がいる。これから先の人生もある。そう考えたとき、いつまでも過去の相手に自分の時間を使い続けることが、もったいなく感じられました。

もうひとつは、自分の行動が、目に見える結果につながったと実感できたこと。相手が謝ってくれたわけではありません。誰かが過去の損失を補償してくれたわけでもありません。自分で学び、自分で考え、自分で行動してきた。その結果、自分たちの生活を支える資産が積み上がっていました。僕は、過去の相手を許したのかもしれませんし、そうではないのかもしれません。

ただ、以前ほど相手のことを考え続ける必要がなくなった。

悩みが完全に消えたというより、悩みの順位が変わったんです。

最低な言い方をすれば、自分が築いてきたものを失いたくないと思ってしまった。

過去の相手よりも、自分が守りたいもののほうが大切になったんです。

さっきまでメッチャ憎んでいたのに、急に「あっしには関わりのないことでござんす」この変わり身。笑

そんな事よりもの「そんな事」になった。これが一番近いかもしれないですね。

5.経済的な余裕は、人生の選択肢につながる

資産形成には、もうひとつの側面があります。それは、将来の選択肢を増やす可能性があることです。

たとえば、家計に余裕ができれば、無理な働き方を見直すことを考えられるかもしれません。嫌な環境から離れるために、転職や働き方の変更を検討できるかもしれません。急な出費が発生したときも、手元資金があれば、すぐに生活が行き詰まるリスクを減らせます。

もちろん、資産があれば何でも解決するわけではありません。金額によってできることは違いますし、投資資産は必要なときに値下がりしている可能性もあります。だからこそ、生活費や緊急時の備えを確保し、リスクを理解したうえで資産形成を考えることが大切です。

それでも、選択肢が増えることには意味があります。追い詰められているときは、目の前の状況から逃げられないように感じることがあります。でも、生活を整え、将来に備え、自分で選べる余地を増やしていくことで、状況の見え方が変わる場合があります。

僕にとって資産形成は、単にお金を増やす作業ではありませんでした。自分の人生を、自分で考え直すための土台にもなったんです。

6.10万円でも、お金の仕組みを知るきっかけにはなる

ここまで読んで、「それは資産があるから言えるんじゃないか」と思う人もいるでしょう。確かに、僕の経験が誰にでも同じように当てはまるわけではありません。ただ、お金の仕組みを学ぶことは、大きな資産を持っている人だけのものではありません。

たとえば、生活費や緊急時の備えを確保したうえで、当面使う予定のない余裕資金が10万円あるとします。仮に、その10万円が1年間で5%値上がりしたら、評価額は10万5,000円。差額は5,000円です。5,000円を12か月で割ると、約417円になります。

ただし、これは年間の値上がり額を単純に12で割った数字です。毎月417円ずつ増えるわけではありませんし、年5%の利益が出る保証もありません。値下がりして元本を割り込むこともあります。この例で伝えたいのは、利益が確実に得られるということではありません。

自分のお金の価値が動くとしたら、何が理由なのか。なぜ増えることがあり、なぜ減ることもあるのか。そんな疑問を持つことが、お金について学ぶ入口になります。

投資を始めることだけが正解でもありません。まず家計を把握する、預金金利を調べる、物価の変化を確認する、金融商品の仕組みを学ぶ。できることはたくさんあります。

僕が伝えたいのは、投資で悩みを解決しようという話ではなく、自分の未来に意識を向けるきっかけを持ってほしいということです。僕にとっては、それが資産形成でした。

まとめ:過去は変えられなくても、これからの自分は考えられる

人間関係に苦しんでいると、相手を許すことや、過去を忘れることが、前に進むための条件のように感じられることがあります。でも、必ずしもそうではないと思います。無理に許さなくてもいい。 されたことを、なかったことにしなくてもいい。ただ、その相手に自分の人生をいつまでも使い続ける必要はありません。

僕の場合、資産形成を通じて、お金やモノの価値が変動することを実感しました。そして、自分の見方や意識の向け先も変えられることに気づきました。

資産評価額を合計したとき、過去の悩みが完全に消えたわけではありません。ただ、自分が築いてきたものと、これから守りたいものが見えたことで、悩みの存在感が変わったんです。

相手が変わるのを待つのではなく、自分にできることを始める。それは、資産形成に限った話ではありません。家計を見直すことでも、仕事について考えることでも、信頼できる人に相談することでもいい。大切なのは、自分の人生を誰かに預けたままにしないことだと思います。

僕は、あなたの過去を知りません。どんな人に何をされ、どれほど苦しんできたのかもわかりません。簡単に「忘れろ」と言うつもりもありません。

でも、人間関係に苦しみ、どうすればいいのかわからなくなっているのなら、僕はあなたの味方です。今すぐ気持ちを切り替えられなくてもいい。まずは、自分のためにできることをひとつ探してみませんか。相手の人生ではなく、自分の人生を生きるために。

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