「月給25万円、各種手当あり!」

求人票を見ると、悪くない条件に見えるかもしれません。でも、

その基本給はいくらでしょうか?手当を除いたら、いくら残るでしょうか?残業をしなかったら、生活は成り立つでしょうか?

もちろん、手当が悪いわけではありません。会社によって給与体系も違いますし、基本給が低いからといって、すぐに危険な会社だと判断することもできません。

ただ、少しだけ考えてみたいのです。

最低賃金が上がり、物価が上がり、人手不足が深刻になる時代に、その会社は今後も競争力を維持できるのでしょうか?

これは、会社を批判するための話ではありません。会社にも事情があります。取引先との力関係もあれば、原材料費や光熱費の上昇もあります。

一方で、そこで働く人にも生活があります。

今回は、企業倒産のデータを見ながら、会社の競争力と、僕たちにできる現実的な備えを考えてみます。

1.会社が苦しい時代になっている

帝国データバンクが2026年10月8日に公表した、2026年度上半期(4〜9月)の企業倒産集計によると、

倒産件数は5,362件でした。

前年同期の5,146件から4.2%増加しています。さらに、

物価高倒産は628件で過去最多。

人手不足倒産も225件に達しました。

ここで注意したいのは、倒産件数が増えたからといって、すべての会社が危険になっているわけではないということです。

企業の経営状態はそれぞれ違います。業績が伸びている会社もあれば、十分な利益を確保している会社もあります。

一方で、販売不振やコスト上昇、人材確保の難しさによって、事業を続けることが困難になる会社もあります。

特に考えたいのは、コストが上がったときに、その負担を吸収できる会社と、できない会社の違いです。

原材料費が上がる。電気代が上がる。最低賃金も上がる。それでも取引先に値上げを認めてもらえなければ、利益が削られていきます。利益が減れば、賃上げや設備投資に回せるお金も少なくなります。設備を更新できず、生産性も上がらず、人材も確保できない。こうした状況に陥れば、会社の経営はますます苦しくなる可能性があります。

2.最低賃金+手当の会社が、必ずしも悪いわけではない

ここで、給料の話をしましょう。例えば、月給25万円と書かれた求人があったとします。その金額に基本給、家族手当、精勤手当、残業代などが含まれていたら、実際の給与構成を確認する必要があります。

残業代は、働いた時間に応じて支払われるものです。手当にも支給条件があります。残業が減ったらどうなるのか。手当の支給条件を満たさなくなったらどうなるのか。基本給が賞与や退職金の算定にどう影響するのか。

こうした点は、求人票の月給だけでは分かりません。だからこそ、給与明細や就業規則を確認し、自分の賃金を時給換算してみることには意味があります。

例えばダボ猫の住む福岡県の最低賃金は10月4日から1,114円に上がりました。さらに製造業には業種によって1,137~1,176円などの特定最低賃金もある。ただし最低賃金の比較では、精皆勤・通勤・家族手当などは算入されません(福岡県庁ホームページ )。

例として手当を除いた基本給与の部分として

最低賃金/円✕(8時間✕出勤日)

この計算はしておき、差異は把握するべきです。

では、基本給が低い会社はダメなのでしょうか?

そうとは限りません。利益率が高い会社でも、年齢や職種によって給与体系は異なります。手当が充実している会社もあります。反対に、基本給が高くても、業績が悪化していたり、残業が常態化していたりする会社もあります。

大事なのは、給与の見た目だけで判断しないことです。自分が受け取るお金と、その会社が利益を生み出す仕組みを、少しだけ知っておく。それだけでも、会社選びの見方は変わります。

3.会社には、安い人件費以外の競争力が必要になる

最低賃金が上がることは、働く人にとって収入改善の機会です。一方で、企業にとっては人件費の上昇でもあります。人件費が上がった分を価格に反映できる会社もあれば、難しい会社もあります。独自の技術やサービスを持ち、顧客から選ばれる会社は、価格競争だけに頼らずに済むかもしれません。設備投資や業務改善によって、一人当たりの生産性を高める方法もあります。

逆に、安い人件費だけを競争力の源泉にしている会社は、賃金が上がるほど経営が苦しくなる可能性があります。もちろん、低賃金の会社がすべてそうだとは言えません。ただ、これからの時代は、単に安く人を雇えるだけでは、事業を維持するのが難しくなる場面も増えるでしょう。

そこで必要になるのは、従業員に我慢を求めることだけではなく、会社自身が付加価値を高めていくことです。

4.投資家から見ると、会社の統合が合理的な場合もある

ここからは、少し違う視点です。同じ業界に小さな会社が何社もあり、似た設備を持ち、同じような仕事を取り合っているとします。それぞれの会社が十分な利益を確保できず、設備投資も賃上げも難しい。このとき、資本力のある企業が事業を買収・統合すれば、設備や物流、管理部門を効率化できる可能性があります。

規模が大きくなれば、仕入れや研究開発に資金を投入しやすくなる場合もあります。投資家にとっては、こうした再編によって企業の収益性や競争力が高まることは、歓迎できる展開かもしれません。

ただし、統合すれば必ず成功するわけではありません。買収価格が高すぎたり、経営統合に失敗したりすれば、企業価値を損なうこともあります。また、効率化によって工場や拠点が整理されれば、働く人への影響も生じます。

つまり、投資家にとって合理的な判断が、従業員にとって必ずしも望ましい結果になるとは限らないのです。この労働者からの視点と経済的観点からの視点の相違は知っておくべきです。会社が存続することと、そこで働く人の生活が守られること。この二つは、似ているようで別の問題でもあります。

5.では、僕たちは何をすればいいのか?

ここまで読むと、なんだか暗い話ばかりに見えるかもしれません。でも、僕が伝えたいのは「危ない会社から今すぐ逃げろ」という話ではありません。倒産件数を見て不安になるだけでも、何も変わりません。会社の経営を、従業員一人の力で変えることもできません。だからこそ、自分にできることを考えたいのです。

例えば、次のようなことです。

① 自分の給与を把握する

基本給、手当、残業代を分けて確認する。残業が減ったときの収入も考えてみる。

② 自分の市場価値を知る

同じ職種や経験年数の求人を見て、自分の技能がどの程度評価されているのかを確認する。今の会社が悪いという話ではありません。ほかの選択肢を知っておくこと自体に意味があります。

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③ 仕事の選択肢を増やす

資格や技能を身につける。経験を積む。必要なら、転職市場の情報を集めておく。すぐに転職する必要はありません。選べる状態をつくっておくことが大切です。

④ 生活防衛資金を確保する

突然の失業や収入減少があっても、すぐに生活が破綻しないよう、家計を把握しておく。投資をする前に、まず生活を守るためのお金を考えることも、立派な資産形成です。

⑤ 会社だけに将来を預けない

会社で働いて給料を得ることは、生活の大切な基盤です。ただ、会社の業績や雇用条件は、自分だけでは決められません。だからこそ、働くことに加えて、支出を管理したり、少しずつ資産を形成したり、複数の選択肢を持つことが役に立ちます。すべてを一度にやる必要はありません。できることから一つずつでいいのです。

6.会社を責めるのでも、自分を責めるのでもなく

会社には会社の事情があります。従業員には従業員の生活があります。経営者が努力しても、どうにもならない市場環境があるかもしれません。従業員が一生懸命働いても、会社の経営方針や業界構造を変えられないこともあります。だから、会社が苦しくなったときに、従業員の努力が足りなかったと考える必要はありません。

逆に、会社のせいにしているだけでも、自分の選択肢は増えません。僕たちができるのは、社会の変化を知り、自分の状況を確認し、必要なときに動けるようにしておくことです。会社が変わるのを待つだけではなく、自分にできることを少しずつ進める。

それは、誰かに責任を押しつけることでも、すべてを自己責任にすることでもありません。自分では変えられないことと、自分で変えられることを分けて考える。それが、現実的な危機管理だと思います。

まとめ:未来は読めない。でも、準備はできる

企業倒産のデータは、これから何が起きるのかを正確に教えてくれるものではありません。今の会社が必ず倒産するわけでも、転職すれば必ず幸せになれるわけでもありません。ただ、物価が上がり、人件費が上がり、企業の競争環境が変化していることは、知っておいて損のない現実です。会社の競争力を見る。自分の給与を確認する。自分の技能や市場価値を知る。家計を整え、少しずつ生活防衛の準備をする。その一つひとつが、将来の選択肢につながります。

ダボ猫も、社会の変化を完全に予測できるわけではありません。だからこそ、分からないなりに調べて、考えて、できることをやっていきます。世の中を一人で変えることはできなくても、自分の行動は少しずつ変えられる。会社の未来を心配するだけで終わらず、自分にできることをやろうぜ。そんな話です。※本記事は経済・雇用・資産形成に関する一般的な情報提供を目的としています。特定企業の倒産を予測したり、特定の投資商品や転職先を勧めたりするものではありません。

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