「実家暮らしです」そう聞いたとき、なぜか少しマイナスに聞こえることがあります。「親に甘えている」「自立していない」「いい歳して実家暮らし」そんな言葉を目にすることもあります。

でも、ちょっと待ってほしい。実家に住んでいることと、自立していないことは、本当に同じなのでしょうか。

先日、YouTubeで投資家の「ガチホニキ」さんがゲスト出演している動画を見ていました。そこでサラッと、「僕は実家暮らしなんです」という話が出てきました。自身のコメント欄では「甘えるな」といった反応もあるそうです。

動画はコチラ👉️https://youtu.be/LkT_ooP4NT8?si=dOthEWQtMWFCSXaH

でも、その生活の中身を聞いてみると、僕はむしろ、かなり合理的な選択じゃないか?と思いました。実家には毎月3万円を入れている。弁当も自分で作る。しかも、時短とタンパク質摂取を目的に、メニューはある程度固定しているらしい。そして浮いた住居費などを、資産形成に回している。これを「実家に甘えている」と一言で片付けてしまうのは、少し違う気がします。

自立とは「親元を離れること」なのか?

僕は親になってから、この問題を少し違う角度から考えるようになりました。そもそも自立って何なんでしょう。実家を出て、一人暮らしを始めれば自立。実家に住んでいれば、いつまでも子ども。本当にそんな単純な話でしょうか。僕は、自立とは、自分の生活を自分で運営できることだと思っています。住んでいる場所は、その次の話です。

例えば実家に住んでいても、「自分はいくら稼いでいるのか」「毎月いくら使っているのか」「家にいくら入れるのか」「食事はどうするのか」「将来のためにいくら貯めるのか」「親がいなくなったらどうするのか」こういうことを自分で考えているなら、十分に自立への道を歩いていると思います。行動に移して家事別、費用別ならなおさらです。

逆に、一人暮らしをしていても、「家賃を払っているだけ」「料理は全部外食」「掃除も洗濯も適当」「契約や手続きは誰かに任せたい」「お金の管理もよく分からない」という状態なら、住所が実家からアパートに変わっただけです。一人暮らし=自立ではありません。

野生動物の「群」で考えてみる

ここで、ちょっと野生動物の話を考えてみます。人間も、生物として見れば「群」で生活することがあります。将来、配偶者と家庭を作れば、夫婦という一つの群になります。子どもが生まれれば、その群はさらに大きくなる。

そこで必要なのは、「誰かに管理してもらう能力」ではなく、「群を運営する能力」なんじゃないかと思うんです。ここが、僕が親として子どもたちに身につけてほしいと思っているところです。

親の管理下にいる。

そのまま配偶者の管理下に移る。

これは、正直ちょっと困ります。なぜなら、今は共働きが当たり前になっているからです。結婚したからといって、勝手にご飯が出てくるわけではありません。勝手に食器が綺麗になるわけでもない。勝手に部屋が掃除されるわけでもない。洗濯物が勝手に畳まれるわけでもない。税金や保険や行政手続きが勝手に終わるわけでもない。子どもが生まれれば、さらに仕事は増えます。つまり家庭というものは、ものすごく複雑な「運営体」なんです。

「家事をしているか」より、「運営を理解しているか」僕が気になるのは、実家暮らしそのものではありません。例えば、「親が全部やっているから、自分は任せておけばいい」という状態です。

親が毎日何をしているのか知らない。食費がいくらかかっているのか知らない。電気代や水道代がいくらなのか知らない。洗剤やトイレットペーパーが、どのくらいの頻度でなくなるのか知らない。家の中の手続きが誰によって処理されているのか知らない。そして、自分には請求されないから気にしない。

これでは、いざ自分が家庭を持ったときに困ります。なぜなら、生活には「見えない仕事」が大量にあるからです。「腹が減った」と思ったら食事が出てくる。「服が汚れた」と思ったら、いつの間にか洗濯されている。「トイレットペーパーがない」と思ったら、誰かが買ってきている。でも、その裏側には必ず運営者がいます。その運営者が、ずっと親でいいのでしょうか。

だから「実家にいる=悪」ではない

ここは、かなり大事なところです。僕は、「若いうちは絶対に一人暮らしをしろ」とは思っていません。家庭の事情もあります。仕事の事情もあります。お金の事情もあります。そして何より、実家にいることで資産形成を加速できる人もいます。先ほどのガチホニキさんのように、「住居費を抑える」「家にお金を入れる」「自分の弁当は自分で作る」「浮いたお金を資産形成に回す」という生活なら、むしろ一つの戦略です。

これを経営という視点で見ると、かなり効率がいい。親子という「一族」のリソースを使って、将来の資産形成をブーストしているとも考えられます。僕が親なら、それは全然ウェルカムです。

ただし条件が一つ。

「実家にいる」という事実に甘えるのではなく、自分自身を運営できる人間になっていること。ここです。

親として、僕は「管理者」を降りていく

我が家でも、子どもたちにはそれぞれ自分の人生があります。上の2人は、「自分のことは自分で決めたい」という気持ちが強かった。だから一人暮らしを始めました。

「甘える→管理下なら、自由に決断できる代わりに甘えられない環境に行きたい」

その時点で、僕は「管理者」から外れました。もう、あれこれ叱ることもありません。生活の運営は本人に任せる。もちろん質問されれば答えます。親として、先輩として相談には乗ります。でも、管理者ではありません。ここは結構大事だと思っています。

年齢が若いからといって、「まだ何も分からない子ども」として扱い続けるのではなく、同じ生活者、同じ運営者として接する。失敗することもあるでしょう。効率の悪いことをすることもあるでしょう。それでも、自分で考えて、自分で決めて、自分で結果を受け取る。その経験が必要なんだと思います。

社会は、思っているよりサバイバルだ

親はいつまでも子どもの生活を管理できません。そして配偶者も、子どもの親も、誰か一人が全部を永続的に背負い続けるのは難しい。社会は、思っているよりずっとサバイバルです。仕事をして、お金を稼ぐ。生活費を管理する。健康を維持する。家事をする。人間関係を作る。必要な手続きをする。そして、誰かと一緒に生きるなら、その「群」を一緒に運営する。これができる力は、かなり重要だと思います。だから僕は、「実家暮らしだから自立していない」とは思いません。むしろ、実家にいながら、自分の人生をきちんと運営している人もいる。反対に、一人暮らしなのに、自分の生活を誰かに丸投げしている人もいる。大事なのは住所ではありません。

自立とは「住所」ではなく「運営能力」

結局のところ、「実家暮らしか、一人暮らしか」という二択で人間の自立を判断するのは、ちょっと雑なんじゃないでしょうか。僕が子どもたちに望むのは、「早く家を出てほしい」ということではありません。自分で考えて、自分で決めて、自分の生活を運営できる人になってほしい。それだけです。実家に住むなら、実家という環境をどう使うのか考えればいい。一人暮らしをするなら、一人の生活を自分で回せばいい。結婚したら、今度は夫婦という群を一緒に運営する。子どもができたら、その群をさらに守り、育てていく。その時に、「誰かがやってくれる」ではなく、「自分も運営者の一人だ」と思える人間になっていること。それが、僕が考える「自立」です。実家暮らしでもいい。一人暮らしでもいい。大切なのは、自分の人生の管理者が、自分になっているか。僕は、そこだと思っています。

■著者プロフィール ダボ猫

3人の娘を持つ普通のサラリーマン。19年間勤めた大手製造業を退職し、現在は別の仕事をしながら、資産形成と暮らしの改善を実践中です。投資歴は約7年。NISAやiDeCoを中心とした長期投資、固定費の見直し、節約、仕事、家族、子育て、そして人生について、「一般家庭目線」で記録しています。

このブログのテーマは、「特別な才能がなくても、人生は少しずつ改善できる」です。大きな成功談ではありません。失敗したこと、迷ったこと、実際にお金を使って分かったこと、家族との出来事。そんな「普通の生活」の中から、少しでも誰かの役に立つものを残していければと思っています。投資も人生も、無理をしない。でも、昨日よりちょっとだけマシにする。そんな感じでやっています。

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