「お金持ちになりたい」そう思ったとき、どんな人を想像するでしょうか。
起業して成功した人。
高収入の仕事に就いた人。
親から財産を受け継いだ人。
株式投資で大きな利益を出した人。
資産を築く方法は一つではありません。
ただ、僕たちが最初から大金を持っていたり、特別な才能に恵まれていたりするとは限りません。では、普通に働いている人間には、資産を築くことは難しいのでしょうか。
僕は、そうは思いません。
今回、参考にしたいのは、世界的な投資家であるウォーレン・バフェットです。
彼と同じ巨万の富を築けると約束することはできません。しかし、彼の行動や考え方を学び、自分の生活に取り入れることならできます。大切なのは、彼と同じ株を買うことでも、彼と同じ生活をすることでもありません。お金を扱う原則を学び、自分が実行できるサイズに落とし込むことです。
今回は、ウォーレン・バフェットから学べる行動を、一般家庭でも実践できる形に整理してみます。
1. まず、自分のお金がどこにあるかを把握する
資産形成の第一歩は、投資商品を選ぶことではありません。自分の現在地を知ることです。預貯金はいくらあるのか。投資資産はいくらあるのか。住宅ローンや自動車ローン、カードの分割払いは残っているのか。毎月、いくら稼いで、いくら使っているのか。これらを把握していなければ、資産形成の計画も立てられません。まずは家計簿でも、スマートフォンのメモでも構いません。自分の資産と負債、毎月の収支を書き出してみましょう。お金持ちになる以前に、自分のお金の管理者になる。ここがスタート地点です。
2. 自分名義の証券口座を開設する
銀行口座にお金を預けることと、投資を通じて資産を保有することは違います。投資を始めるなら、まずは自分名義の証券口座を開設し、どのような商品があり、どのような仕組みで運用されるのかを知ることから始めましょう。日本にはNISAという税制優遇制度もあります。ただし、NISAそのものが投資商品なのではありません。株式や投資信託などから選んだ商品を、一定の条件のもとで非課税運用できる制度です。口座を開設したからといって、すぐに投資する必要はありません。まずは制度を理解する。手数料を確認する。リスクを知る。そして、自分で判断する。誰かに勧められたから買うのではなく、自分のお金を自分で管理できる状態をつくることが重要です。
3. 投資の仕組みを学び、自分に合う方法を選ぶ
バフェットといえば、企業の価値を分析し、長期的な視点で投資することで知られています。しかし、彼と同じように企業を分析し、個別株を選び続けることは、誰にでも簡単にできるわけではありません。だからこそ、僕たちは自分の知識や使える時間、許容できるリスクに合わせて投資方法を選ぶ必要があります。例えば、幅広い企業に分散投資するインデックスファンドを活用する方法があります。S&P500や全世界株式に連動する投資信託などは、その代表例です。個別株を研究する方法もあれば、分散された投資信託を長期保有する方法もあります。預貯金を中心に資産を守ることが適している時期もあるでしょう。重要なのは、どの方法が絶対に正しいかを決めつけることではありません。自分が理解できる方法を選び、そのメリットとリスクを把握して行動することです。なお、どの投資方法でも利益は保証されません。市場の状況によっては、資産が大きく減る可能性もあります。
4. 生活防衛資金を確保する
投資に回せるお金があるからといって、手元の現金をすべて投資に回す必要はありません。突然の失業、病気、家電の故障、家族の事情など、人生には予定外の支出が発生します。そのたびに投資商品を売却しなければならない状態では、落ち着いて資産形成を続けることが難しくなります。そこで必要なのが、生活防衛資金です。必要な金額は、家族構成や雇用状況、毎月の生活費などによって異なります。まずは自分の家庭に必要な金額を見積もり、無理のない範囲で現金を確保しましょう。資産形成は、投資を始めることだけではありません。困ったときに投資を続けるか、取り崩すかを自分で選べる余裕を持つことも、資産管理の一部です。
5. 見栄のための支出を減らす
収入が増えたら、生活水準も上げたくなるものです。もっと高い車。もっと高い服。もっと広い家。周囲から羨ましがられる暮らし。もちろん、自分が本当に好きなものにお金を使うことまで否定する必要はありません。問題は、自分が欲しいから買うのか、他人によく見られたいから買うのか、分からなくなってしまうことです。他人の評価を維持するために支出を増やせば、収入が増えてもお金が残らないことがあります。一度、毎月の支出を見直してみましょう。使っていないサブスクリプション。必要以上に高い通信費。衝動買い。周囲に合わせるためだけの出費。こうした支出を見直すことで、自分にとって本当に価値のあることにお金を使いやすくなります。節約は、人生を我慢だらけにするためのものではありません。自分にとって価値の低い支出を減らし、価値の高いものを選ぶための手段です。
6. 学び続ける習慣を持つ
バフェットは、読書や情報収集を重視する人物として知られています。僕たちが彼と同じ量の情報を読み込む必要はありません。しかし、お金について学び続ける姿勢は取り入れられます。例えば、毎日10分でも構いません。NISAの仕組みを調べる。投資信託の手数料を比較する。金利が上がると家計に何が起こるのかを学ぶ。税金や社会保険について知る。こうした知識は、投資だけでなく、住宅費や保険、老後の生活設計にも役立ちます。知らないこと自体は、恥ずかしいことではありません。問題なのは、分からないまま大きなお金を動かしてしまうことです。難しい専門用語を全部覚える必要はありません。自分のお金に関係する仕組みを、一つずつ理解していきましょう。
7. 他人の儲け話に飛びつかない
SNSを開けば、短期間で大きな利益を出したという話が目に入ります。数日で資産が何倍になった。あの株を買えばよかった。今からでも間に合う。こうした情報を見ていると、自分だけが取り残されているように感じることがあります。しかし、他人の成功談だけを見ても、その人がどれだけのリスクを取ったのか、どんな失敗を経験したのか、最終的に利益が残ったのかは分かりません。大きな利益を狙うほど、大きな損失を被る可能性もあります。投資する前に、なぜ利益が生まれるのか、どんな条件で損失が発生するのか、手数料はいくらなのかを確認しましょう。理解できない商品や、急いで決断を迫る話には距離を置く。利益を逃すことを恐れるあまり、資産を失うリスクを見落とさないことが大切です。
8. 無理なく続けられる仕組みをつくる
資産形成を始めると、最初はやる気が出るものです。しかし、毎月の生活費を圧迫するような積立額を設定すれば、いずれ続けられなくなるかもしれません。大切なのは、気合いで頑張ることよりも、続けられる仕組みをつくることです。家計を確認し、生活防衛資金を確保したうえで、余裕のある範囲から積立額を決める。収入や家族の状況が変われば、必要に応じて見直す。毎月必ず一定額を投資しなければならない、というわけではありません。家計が苦しいときは、生活を優先して構いません。資産形成は、家族の暮らしを犠牲にしてまで続けるものではないからです。
9. 複利と時間を味方につける
資産形成で重要な考え方の一つが、複利です。投資によって利益が得られ、その利益を再び運用に回せば、将来的に利益が次の利益を生む可能性があります。もちろん、投資には損失が発生する年もあります。複利だからといって、資産が必ず増えるわけではありません。それでも、長期で資産形成を考えるうえで、時間は重要な要素です。例えば、運用で得た利益を使い切るのではなく、再投資する。短期の値動きだけで判断せず、長期の計画を持つ。こうした行動は、特別な才能がなくても学ぶことができます。大切なのは、一度の大きな利益を当てることだけを考えないことです。時間をかけて資産を育てるという考え方を、自分の生活に取り入れることです。
10. 分散を意識する
特定の会社に全財産を投じれば、その会社が大きく成長したときには大きな利益を得られるかもしれません。一方で、その会社の業績が悪化したり、株価が急落したりすれば、大きな損失につながります。資産を守るためには、投資先や資産の種類を分散することも重要です。株式、預貯金など、それぞれの役割を考えながら、自分に合った資産配分を検討しましょう。バフェット自身は個別企業への集中投資も行ってきました。しかし、それをそのまま一般家庭が再現すべきだという意味ではありません。彼の投資判断を支える知識や経験、資産規模、損失を受け止める力は、僕たちと同じではないからです。有名投資家の行動を参考にすることと、その行動を無条件にコピーすることは違います。
11. 高金利の借金を放置しない
資産を増やそうとする一方で、借金の利息を払い続けている。これでは、せっかくの努力が家計に残りにくくなることがあります。特に、金利の高い借入れやリボ払いなどは、残高と金利、返済条件を確認することが重要です。投資で得られる利益は不確実ですが、借入れの利息は契約に基づいて発生します。まずは借金の全体像を把握し、返済計画を立てる。必要なら借入先に相談する。投資を始めることだけが資産形成ではありません。家計から確実に出ていくお金を減らすことも、資産を守るための重要な行動です。
12. 自分が理解できる範囲を守る
投資には、株式、債券、不動産、為替、さまざまな金融商品があります。商品によって仕組みもリスクも異なります。難しい商品を扱っているからといって、必ずしも優れた投資家というわけではありません。自分が理解できないものに、大切なお金を投じる必要はありません。買う理由を自分の言葉で説明できるか。どんなときに値下がりするのか。手数料や税金はどうなっているのか。これらが分からないなら、いったん立ち止まって調べればよいのです。分からないことを認めるのは、弱さではありません。自分の知識の限界を知り、その範囲内で判断することは、資産を守るための立派な行動です。
13. 他人と資産形成の速度を比べない
同じ年齢でも、資産額には大きな差があります。収入、家族構成、住居費、健康状態、相続の有無。人によって条件が違うのですから、結果が違うのは当然です。SNSで同年代の資産額を見て焦ることもあるでしょう。しかし、他人の資産額を見ても、自分の家計が改善するわけではありません。他人と比べて投資額を増やし、生活費が足りなくなれば本末転倒です。比べるなら、先月の自分と比べてみましょう。無駄な支出を一つ減らせた。金融商品の仕組みを理解できた。少しずつ貯蓄が増えた。その積み重ねを大切にしてください。資産形成は競争ではありません。自分の人生を少しずつ安定させるための取り組みです。
14. 定期的に振り返り、必要なら修正する
一度計画を立てたら、ずっとそのままでよいわけではありません。転職、結婚、子どもの進学、住宅の購入、親の介護。人生の状況が変われば、お金の使い方も変わります。年に一度でもよいので、家計と資産を確認してみましょう。資産はどれくらい増減したのか。毎月の支出は適切か。投資のリスクを取りすぎていないか。これから必要になるお金はいくらか。計画どおりに進まなかったとしても、必要以上に自分を責めることはありません。状況を確認し、原因を考え、計画を修正する。大切なのは、過去の判断に固執することではなく、これからの行動を改善することです。
15. お金を人生の目的にしない
ここまで、お金を管理し、守り、育てるための行動を紹介してきました。しかし、忘れたくないことがあります。お金は、人生を豊かにするための手段だということです。家族と過ごす時間。健康を守ること。好きなことを楽しむこと。無理な仕事を断れる余裕を持つこと。こうしたものを守るために、お金があります。資産額が増えても、毎日不安で仕方がなかったり、家族との時間をすべて犠牲にしたりするなら、何のために資産を築いているのか分からなくなってしまいます。自分は何を守りたいのか。どんな生活を送りたいのか。その答えを考えたうえで、お金との付き合い方を決めていきましょう。お金持ちの生活を真似する必要はありません。自分の人生に必要なものを、自分で選べるようになることが大切なのです。
まとめ:スモール・ウォーレン・バフェットを目指そう

ここまで紹介した行動は、どれも特別な才能がなければできないものではありません。自分のお金を把握する。借金や固定費を見直す。金融について学ぶ。自分に合った投資方法を選ぶ。無理のない範囲で続ける。長期的な視点を持つ。一つひとつは地味です。すぐに人生が変わるような派手な方法でもありません。
でも、資産形成は、一発逆転を狙わなければいけないものではありません。ウォーレン・バフェットと同じ巨万の富を築くことは、簡単ではないでしょう。彼には卓越した投資判断力があり、長い投資経験があり、そして僕たち一般人とは比べものにならないほど大きな資本があります。ここは、正直に認める必要があります。
ただし、資産形成の原則まで、彼だけのものというわけではありません。元本の大きさには違いがあっても、支出を管理し、資産を持ち、理解できるものに投資し、長期で運用するという考え方は、僕たちにも取り入れられます。
もちろん、同じ行動をすれば同じ結果になるという保証はありません。それでも、自分のお金を管理し、資産を築くための行動を積み重ねることはできます。
僕は、そんな人を**「スモール・ウォーレン・バフェット」**と呼びたいと思います。
巨万の富を持つ必要はありません。誰かに自慢する必要もありません。自分の資産を自分で管理し、少しずつ育て、人生の選択肢を増やしていく。その方向を目指すことなら、僕たちにもできます。
そして、最後にもう一つ。
ウォーレン・バフェットは、若い頃から投資を続けてきた人物です。しかし、彼の莫大な財産の大部分が築かれたのは、50歳を過ぎてからだとされています。長い年月にわたる資産の成長と複利の力が、大きな役割を果たしました。
つまり、彼の人生から学べるのは、若いうちに成功しなければ終わりだということではありません。時間をかけて続けることが、後半の人生を大きく変える可能性があるということです。もちろん、僕たちがバフェットと同じ資産額を築けるわけではありません。でも、50歳からでも、60歳からでも、自分のお金を理解し、守り、育てる行動は始められます。遅すぎると決めつける前に、まず一つ、できることを始めてみませんか。
お金持ちの人生は再現できなくても、資産を育てるための行動は再現できる。さあ、今日からスモール・ウォーレン・バフェットを目指してみましょう。
好リターンの裏には当然リスクもあります。当然自分の時間の投入もあります。事前調査もいりますし流動的な市場調査も必要。見てませんでした、そんな言葉が通用する程市場は甘くはないです。
でも今コレを読んでる瞬間の「今」。ココで動くか動かないかが人生の分岐点だと思っています。甘くはないですが、逆に要点を押さえさえすればリスクの増大は防げる。そんな側面も事実としてあります。
※この記事は一般的な資産形成の考え方を紹介するもので、特定の金融商品への投資を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、将来の利益を保証するものではありません。
■blog ダボ猫チャート
■著者プロフィール ダボ猫

No responses yet