突然ですが、皆さんは企業にどんなサービスを提供していますか?

製品の組み立て?

営業活動?

改善提案?

お客様への対応?

もちろん、それも立派なサービスです。しかし、長年働いていると、どうやら本業以外にも提供しているものがあるようです。そう、無償サービスです。

今回は、ダボ猫が社会人生活で企業に提供してきたサービスを、感謝の気持ちを込めて振り返ってみたいと思います。※もちろん、感謝されていたかどうかは別問題です(笑)。

1. 某洗面化粧台メーカーの協力企業編

サービス① 残業時間の半額キャンペーン

実際に働いた残業時間が、なぜか申請すると半分位になる。

これはすごい。通常、サービス業で半額といえば、お客様に喜ばれるキャンペーンです。しかし、こちらは労働者が提供したサービスの対価が半額になるという、画期的な仕組み。もちろん、労働時間まで半分になるわけではありません。身体はしっかり働いています。時間だけが、お得なプランに変更されているのです。実労働時間は通常料金。給与計算上は割引料金。……いや、誰が割引を頼んだんだよ(笑)。

サービス② 休日出勤の神隠し

休日に出勤します。当然、働いた日数が増えます。

ところが、申請上は日数が減っていたり、場合によっては消えていたり。おかしいですね。ダボ猫は確かに出勤したはずです。しかし、勤怠の世界では存在しなかったことになっている。もしかして、あの日は夢だったのでしょうか。いや、夢ならせめて休日くらい返してくれ(笑)。

サービス③ 夏祭りへの無料出演

会社の夏祭り。参加は自由です。そう、自由。ただし、周りはみんな参加する。

そんな空気の中で「僕は帰ります」と言うには、なかなかの精神力が必要です。もちろん、本当に自由参加で、参加しなくても不利益がないなら、参加そのものは問題ありません。ただ、職場の空気というものは不思議なものです。誰も命令していないのに、なぜか参加する。誰も強制していないのに、なぜか断りにくい。命令コストゼロ。人間関係による自動参加システム。企業経営の観点から見れば、なかなか優秀な仕組みかもしれません。ダボ猫も、そんなシステムの一部として祭りを盛り上げてきました。なお、出演料はありません。屋台で何か食べて、少しでも元を取るしかないのです(笑)。

実に9年の歳月、僕はこのシステムで勤務していました。

2. 某大手自動車メーカー編

サービス④ 改善提案書の休日制作

製造現場といえば改善活動。もっと安全に、もっと効率よく、もっと品質を高める。素晴らしい取り組みです。

そして、改善提案書を提出します。半ば提出が当たり前のような雰囲気の中、書類を作成する。仕事が終わってから、あるいは休日に。もちろん、ダボ猫の記憶では、その作成時間は無給でした。ここで考えてみましょう。企業が改善を求める。労働者が改善案を考える。採用されれば、会社の生産性向上につながる可能性がある。その改善案を考える時間まで、労働者が無償提供していたら?会社の改善活動に、ダボ猫の休日も改善材料として投入されていたわけです。

ただし、自分の仕事を良くしようという意欲まで否定したいわけではありません。問題は、改善することではなく、そのために使った時間がどう扱われていたのか。……なんて真面目に考えていたら、また休日が終わってしまいます(笑)。ただしコレは項目により数百円回収出来ていました。さすが大企業ですよね!

サービス⑤ QC活動の持ち帰りパック

グループ改善活動、いわゆるQC活動。

現場のデータをまとめ、問題を分析し、改善策を考え、発表資料を作る。そして、データを持ち帰って家で作業する。職場で終わらなかった仕事が、自宅へ出張してくるわけです。ダボ猫の家にも、仕事がやってきました。交通費は不要。出張手当も不要。事務所の光熱費も不要。なんて経済的なのでしょう。会社の仕事が、追加料金なしで家庭にまでついてくる。なお、現在はデータの持ち帰りが禁止され、当時とは運用が変わっています。

当時の経験を振り返ると、職場で行うべき活動と、自宅で行う作業の境界は何だったのか、考えさせられます。家に帰ってまで仕事をするのが当たり前になると、家は休む場所なのか、第二の職場なのか、よく分からなくなりますね。

サービス⑥ 技能検定に向けた自己研鑽

会社の技能検定に向けた練習。

名目は自己研鑽。自分の技能を高めることは、もちろん大切です。技術が身につけば、自分の財産にもなります。ただし、その技能を会社の業務に活用するための練習だったら?会社の技能検定に向けた練習時間を、自己研鑽という名前で無給にする。なるほど。名前を変えるだけで、同じ時間の見え方が変わるのですね。残業ではなく自己研鑽。業務ではなく成長機会。無給の時間にも、ずいぶん豊かなネーミングがあるものです。ダボ猫、スキルアップと引き換えに時間を納品。ただ、技能が身についたことは無駄ではありません。だからこそ、本人の成長と会社の利益が両立する仕組みになっていたのか、という話です。

サービス⑦ 頻繁な組合活動

組合活動にも時間を提供してきました。

労働者の権利を守るための活動は、大切です。ただし、活動には時間が必要です。しかも、頻繁に行われる。会社の仕事が終わったら、休日は組合活動。仕事とは別の活動なのに、社会人の一日はどこまでも続きます。なお、組合活動の時間がすべて無給であること自体を、直ちに問題と決めつけることはできません。活動の内容や勤務扱いなどによって事情は異なります。それでも、ダボ猫の労働奉仕録に記載するなら、これも立派な時間提供の一つ。会社に提供する時間。組合活動に提供する時間。そして、どちらにも提供しない、自分だけの時間。最後の項目が一番貴重だったりして(笑)。

3. 販売業編

サービス⑧ 繁忙期限定・休日午前便

繁忙期になると、聞こえてくる言葉。

「休日の午前中だけでも出てきてほしい」はい、出勤します。午前中だけなら、午後は休めます。……と言いたいところですが、休日に出勤するということは、休息の予定を組み直すということです。休日は、単に会社に行かない日ではありません。寝不足を取り戻す日。家族と過ごす日。買い物や用事を済ませる日。何もしないで休む日。そうした時間を調整して、会社に提供するわけです。休日午前便。お届けするのはダボ猫の時間です。送料は無料。ただし、疲労は着払いです(笑)。

サービス⑨ 調整手当付き・早朝オプション

「調整手当を払うから、1〜2時間早く来てほしい」

なるほど。手当がつくのはありがたいことです。しかし、ここでダボ猫は考えました。その手当は、追加で働いた時間に見合っているのでしょうか?仮に2時間早く出勤して、手当が一定額支給されるとします。時給換算すると、残業手当てほどお得ではないかもしれません。もちろん、手当の金額や賃金体系によって結果は変わります。大切なのは、手当がつくという言葉だけで納得せず、実際の労働時間と対価を比べること。「手当あり」という看板だけで、採算まで良いとは限らない。企業の決算を分析する前に、自分の労働条件も分析しておきたいところです。

サービス⑩ 朝5時前から夕方18時30分までのイベント便

そして、販売業での大物。

イベント出勤です。朝5時前に出勤。夕方18時30分まで勤務。ところが、勤怠上は定時扱い。……定時とは?ダボ猫の知っている定時と、勤怠システムが知っている定時は、別の世界線、パラレルワールドに存在しているのでしょうか。朝5時前から夕方18時30分。その間には、13時間以上の時間が流れています。もちろん、実際の労働時間を計算する際には休憩時間などを区別する必要があります。それでも、長時間拘束された事実と勤怠記録が食い違っているなら、確認する価値はあります。ダボ猫はイベントに参加したのではない。イベントという名の長時間サービスを提供したのである。もはや特別出演です。ギャラ?勤怠システムに聞いてください(笑)。

4. ダボ猫の無償サービス、総まとめ

ここまで振り返ってみると、ダボ猫が提供してきたものは、単なる労働時間だけではありませんでした。

申請されなかった残業時間

記録から消えた休日出勤

休日に作成した改善提案書

自宅で行ったQC活動

技能向上のための練習時間

仕事や活動に費やした休日

早朝出勤やイベントによる拘束時間

もちろん、すべてを同じ性質のものとして扱うことはできません。自主的な活動もあれば、職場の空気に背中を押されたものもある。実際の労働時間と勤怠記録の食い違いについては、個別に確認が必要です。

しかし、これだけは言えます。会社に提供した時間は、ダボ猫の人生から切り取られた時間でもある。

その時間を家族に使うこともできた。休息に使うこともできた。勉強に使うこともできた。あるいは、何もせずにダラダラ過ごすことだってできた。ダボ猫は、その一部を企業活動に提供してきたわけです。

企業の成長に貢献できたのなら、それ自体を否定するつもりはありません。改善活動も、技能向上も、仲間との協力も、働くうえで大切なことです。

ただ、会社に貢献することと、自分の時間を際限なく差し出すことは、同じではありません。

5. ダボ猫から、働く皆さんへ

会社に尽くすことが悪いわけではありません。仕事に誇りを持つことも、技能を磨くことも、仲間を助けることも、素晴らしいことです。ただし、自分が何を提供しているのかは、一度くらい確認してみてもいいと思います。実際に働いた時間は、正しく記録されているか。手当と労働時間は釣り合っているか。自主的な活動だと思っているものは、本当に自分の意思で選べているか。そして、会社のために使う時間と、自分や家族のために使う時間のバランスは取れているか。

たまには、そんなことを考えてみてもいいのではないでしょうか。

ちなみに、ダボ猫は長年の奉仕活動を経て、ようやく一つの真理にたどり着きました。

企業には決算書がある。ダボ猫にも、人生の収支報告書が必要だった。

売上への貢献は分かりません。会社の利益も分かりません。しかし、提供した時間だけは、確実に人生から差し引かれています。これからは、少しだけ自分の時間も大切にしたいと思います。会社にサービスを提供するのもいいけれど、たまには自分自身にもサービスしてあげましょう。休日に昼まで寝る。家族と飯を食う。好きなことをする。何もせず、猫のように丸くなる。それくらいのサービスは、自分に提供してもいいはずです。

でもよく考えたら、やらせて払わないってなんなん 笑 すげー話ですよね。

僕らが外でやったら、タダ食い、食い逃げだの踏み倒しだのエラい事になるのに。 

それでは皆さん、今日もご安全に。ダボ猫でした。

※本記事は筆者個人の経験をもとにしたものです。特定の企業・団体を評価・断定することを目的としたものではありません。労働時間や賃金の法的な取り扱いは、実際の勤務状況や指示の有無などによって異なります。

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